大会準備委員長 菊谷正人
会員の皆様におかれましては、ますますご清祥のことと大慶に存じ上げます。
さて、このたび法政大学市ヶ谷キャンパスにおきまして、日本会計研究学会第66回関東部会を開催させていただくことになり、大変、光栄に存じております。
収益認識に関する包括的な会計基準として、2014年5月にIASBにより公表されたIFRS15号「顧客との契約から生じる収益」が2018年1月1日以後に開始する事業年度から適用されるのに呼応して、わが国のASBJも2018年3月30日に企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「基準29号」)を公表しました。
IFRS15号をモデルにして作成された「基準29号」では、契約で取り決めた財・サービスを顧客に移転する約束を果たした時点で収益を認識することになります。具体的には、5つのステップ(①契約の識別、②履行義務の識別、③取引価格の算定、④履行義務への取引価格の配分、⑤履行義務充足による収益認識)を適用して収益が認識されます。その結果、従来認められてきた会計処理が認められない場合(たとえば、ポイント引当金、割賦基準等)もあり、取引価格の算定に変動対価(たとえば、返品、リベート、値引き等)を考慮する必要があり、従来の売上高よりも減額・計上される場合もある。売上高の純額測定には、売上利益率等の財務諸表分析、売上高管理等にも影響を与えます。さらに、平成30年度税制改正において、「基準29号」に対応するために「法人税法第22条の2」が新設され、平成32年(2020年)4月1日より施行されることになっています。また監査においても、財務諸表数値をめぐり、監査上の判断が問われる状況も多くなると考えられます。
新会計基準である「基準29号」は、財務会計(財務諸表作成)のみならず、管理会計(予算管理、経営分析等)、税務会計(法人税法における税務処理)の会計学全般にわたり多大な影響を及ぼすことでしょう。本関東部会では、新会計基準である「基準29号」に関して総合的・多面的な検討を加えることにしたいと思います。
準備委員一同、本大会を通じてわが国の会計研究の発展に貢献できることを願っております。ご多用中とは存じますが、会員の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
2018年10月吉日
日本会計研究学会第66回関東部会準備委員会
委員長 菊谷 正人 | |
委 員 石島 隆 | 梅津 亮子 |
大下 勇二 | 神谷 健司 |
川島 健司 | 岸 牧人 |
北田 皓嗣 | 坂上 学 |
高橋美穂子 | 竹口 圭輔 |
田中 優希 | 筒井 知彦 |
中野 貴之 | 福田 淳児 |
福多 裕志 | |