ご挨拶

坂上学研究室のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
私の研究は、一貫して「企業や組織に関する情報を、どのように表現し、伝達し、利用するべきか」という問題意識に基づいています。研究対象は、事象アプローチ、XBRL、統合報告、ESG開示、AI・データサイエンスへと変化してきましたが、その根底には会計情報の意味と役割を探究するという共通の関心があります。
本研究室では、会計を単なる記録技術や計算技術としてではなく、企業や組織に関する情報を生成し、伝達し、利用するための社会的な情報システムとして捉えています。
近年、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。財務情報に加えて、サステナビリティ情報やESG情報の重要性が高まり、AIやデータサイエンスの発展によって情報分析の可能性も飛躍的に広がっています。このような環境変化の中で、本研究室では会計情報の本質を見失うことなく、新たな制度や技術を積極的に研究対象として取り上げています。
研究室の理念・ポリシー
本研究室では、「会計情報」を中心的な研究対象としています。
会計は単なる帳簿記録や財務諸表作成のための技術ではありません。企業活動を社会へ伝達し、多様な利害関係者の意思決定を支援する情報システムです。
企業や組織に関する情報は、
- 何を伝えるべきか
- どのような形で伝えるべきか
- どこまで伝えるべきか
- 伝えられた情報をどのように活用するべきか
という問いと常に向き合っています。
本研究室では、こうした問いを会計学、情報システム論、ディスクロージャー研究、サステナビリティ研究、AI・データサイエンスなどの視点から探究しています。
研究の歩み
私の研究は、おおよそ以下の4つの時期に整理することができます。
第1期 情報の内容を探究する時代
―何を開示すべきか―
研究者としての初期には、事象アプローチや会計情報伝達論を中心に研究を行いました。
企業活動をどのような情報として表現するべきか、また会計情報はどのような意味を持つのかという問題に取り組みました。
会計を単なる記録技術としてではなく、企業活動を表現する情報システムとして捉える視点は、この時期に形成されました。
第2期 情報の構造を探究する時代
―どのように開示すべきか―
インターネットの普及と電子開示制度の発展を背景として、XBRLや電子ディスクロージャーに関する研究を行いました。
会計情報を構造化し、コンピュータが処理可能な形式で伝達する方法を探究するとともに、情報技術が会計情報の流通や利用に与える影響について研究しました。
第3期 情報の範囲を探究する時代
―どこまで開示すべきか―
企業価値を理解するためには、財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する情報も重要であるという認識のもと、統合報告やサステナビリティ情報開示に関する研究を行いました。
この時期には、会計ディスクロージャーの対象をどこまで拡張すべきかという問題に取り組みました。
第4期 情報の活用を探究する時代
―開示情報から何を発見できるか―
近年ではAIやデータサイエンスを活用した会計情報分析に関心を持っています。
大量の財務情報・非財務情報・テキスト情報を分析することで、従来は見出すことが困難であった知識や洞察を発見できる可能性があります。
現在は、構造化会計情報とAIとの関係を重要な研究テーマの一つとして位置付けています。
教育方針
本研究室では、単なる知識の習得ではなく、「自ら問いを立て、自ら考え、自ら調査し、自ら表現する能力」の育成を重視しています。
研究とは、既に与えられた問題を解くことではなく、解くべき問題そのものを発見することから始まります。
そのため、
- 文献を読む力
- 論理的に考える力
- データを分析する力
- 他者に伝える力
- 論文としてまとめる力
を総合的に身に付けることを目指しています。
また、本研究室では理論研究と実証研究の双方を重視し、会計学と情報技術、さらにはAIやデータサイエンスを結び付けた学際的な研究にも積極的に取り組んでいます。
研究室活動
研究室では、学部ゼミナール、卒業研究、修士論文、博士論文の指導を中心に活動しています。
研究テーマは会計学に限定されず、
- 会計情報
- ディスクロージャー
- XBRL
- ESG情報開示
- 統合報告
- AI・データサイエンス
- 会計情報システム
など幅広い領域を対象としています。
また、研究成果を社会へ発信することを重視し、学会発表や論文執筆にも積極的に取り組んでいます。
学生へのメッセージ
本研究室は、会計を単なる計算技術としてではなく、「情報」という視点から理解したい学生に適した研究室です。
会計学に興味のある学生はもちろん、情報システム、データ分析、サステナビリティ、AIなどに関心を持つ学生も歓迎します。
企業や社会を理解するためには、どのような情報が必要なのか。その情報はどのように表現され、伝達され、利用されるべきなのか。
こうした問いについて、一緒に考え、研究していきたいと思います。
本研究室での学びが、皆さん自身の知的好奇心を刺激し、将来の研究や実務における大きな財産となることを願っています。