第13回大学院生簿記会計学研究報告大会

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日本簿記学会政大学
法政大学

【同時開催】
日本簿記学会第27回全国大会


プログラム

  • 受付 13:00~17:20
  • 第1報告 14:00~15:00
  • 第2報告 15:10~16:10
  • 第3報告 16:20~17:20

各報告は以下のフォーマットに従って進められます。

  • 報告 30分
  • コメント 15分
  • 質疑応答 15分

第1報告 14:00~15:00

  • 報告者
    中溝晃介氏(神戸大学大学院経営学研究科D2)
  • 報告テーマ
    会計オントロジーの構築に関する予備的研究―XBRLのタクソノミを対象として―
  • 報告要旨
    本研究の目的は,財務報告言語XBRLに埋め込まれた財務諸表の知識を明らかにすることである。作成される計算書類は単に項目と数字が列挙されている表ではない。財務諸表上では,様々な計算が行われ,項目一つひとつに役割があり,計算書同士,項目同士が関係性をもっているのである。このようにして見ると,財務諸表には実に多くの規約すなわち知識が埋め込まれていることがわかる。本研究は,この埋め込まれた知識をオントロジーとして捉え,財務諸表に関する会計オントロジー構築の基礎を述べるものである。オントロジーとは機械可読な知識体系と定義され,近年会計データモデルやXBRLの研究領域で用いられている概念である。この財務諸表の知識をオントロジーとして分析することで,その知識を機械可読なものとして体系的にまとめる第一歩を踏み出すことができる。そして,構築されたオントロジーは,エラーチェックや監査などに利用されるといったことが期待される。
  • コメンテーター
    坂上 学(法政大学経営学部教授)

第2報告 15:10~16:10

  • 報告者
    竹内徹也氏(横浜国立大学国際社会科学研究科D3)
  • 報告テーマ
    日本の生命保険会社による裁量的会計行動
  • 報告要旨
    本報告の目的は,利益調整やソルベンシー・マージン比率の調整を目的とした日本の生命保険会社による裁量的会計行動のメカニズムについて,実証分析により検証することである.生命保険会社は戦後に限れば8社が破綻しているが,その多くは破綻の前年まで黒字であった.また破綻前に,自己資本の指標であるソルベンシー・マージンが,金融庁による業務改善命令のレベルである200%を下回った生保は存在しなかった.これらの事実は,利益の増加や自己資本のかさ上げを目的とした,生保による利益調整の可能性を示唆するものと考えられる.本報告では,責任準備金や有価証券売却損益等4項目の会計項目が裁量的会計調整に利用されている可能性があると考え,これらを従属変数とし,基礎利益やソルベンシー・マージン比率等を独立変数とするSUR回帰によって,生命保険会社による裁量的会計行動のメカニズムを明らかにする.
  • コメンテーター
    大沼 宏(東京理科大学経営学部准教授)

第3報告 16:20~17:20

  • 報告者
    櫛部幸子氏(関西学院大学商学研究科D1)
  • 報告テーマ
    中小企業向け国際会計基準(IFRS for SMEs)に関する一考察
  • 報告要旨
     現在、国際的な動向として、中小企業向けIFRS(International Financial Reporting Standard for Small and Medium-sized Entities 、以下IFRS for SMEsとする)が注目されている。 世界に目を向ければ、世界各国において自国の中小企業に対する会計基準が存在している。それらをIFRS for SMEsに統一し、グローバル化の進む中小企業経営において、財務諸表の国際間の比較可能性を高めようとするものである。 そこで、本報告では、IFRS for SMEs公表に至るまでの各策定段階における具体的な審議内容と方向性を述べ、特徴的な会計処理である簡素化・除外の会計処理をとりあげる。 更に、対象となる会社が質的基準により規定されている点、IFRSとのクロスレファレンスを排除し、IFRS for SMEsだけで自己完結のできる基準となっている点を述べ、今後のIFRS for SMEsの普及可能性について検討する。
  • コメンテーター
    成川 正晃(高崎商科大学短期大学部教授准教授)
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