坂上は、「社長検定試験」の立ち上げ当初からその企画・設計に携わり、科目体系、称号、試験方式など、検定制度全般を統括する責任者を務めてきました。本ページでは、こうした立場から「社長検定」の概要を紹介するとともに、各科目の背景にある考え方や理論を紹介し、それらを実際の企業経営にどう生かすのかを考えるための解説ページを作成しました。

公式テキストの内容を説明するのではなく、そこで学ぶ知識を「社長として何を考えるために学ぶのか」という視点から掘り下げています。そして最後には、学んだ知識を自分の会社の判断や行動にどう結びつけるのかを考えます。単なる試験対策にとどまらず、「会社を経営するために何を学ぶべきか」を考えるための一助となれば幸いです。

President Masterへの道

「社長検定試験」は、中小企業の経営者に求められる知識と経営能力を体系的に学び、その修得度を確認するための検定試験です。

受験科目には、「経営」「人的資源管理」「中小企業のリスク管理」「会計と金融」「社会環境経営」の5つの専門科目があり、企業を持続的に成長させるために必要となる幅広い領域を対象としています。

5つの専門科目すべてに合格すると、それらの知識を統合して実際の経営に生かす能力を問う論述式問題(公式テキスト第6章「経営管理の実践」に関連する問題)を受験することができます。論述式試験に合格すると、President Master の称号が授与されます。

社長になるために何を学ぶのか

会社を経営するために必要な知識は、一つの専門分野だけではありません。会社の方向を考え、人と組織をつくり、リスクに備え、数字で現在と将来を捉え、社会や環境との関係を考える。そして、それらの知識を自分の会社に当てはめ、判断し、行動し、その結果からもう一度学ぶ。社長検定の6つの学習領域は、こうした「社長が考えるべきこと」を異なる角度から学び、最後に実際の経営へ結びつけるものとして捉えることができます。

経営(専門科目)

会社はどこへ向かうのか-経営理念、経営ビジョン、経営環境分析、経営戦略、経営計画、事業承継、組織風土などを通じて、会社がどこを目指し、そのためにどのような経営を行うのかを考えます。 [もう少し深く学ぶ →]

人的資源管理(専門科目)

人を通じて、どのように組織をつくるのか-人を経営資源として捉え、労働法規、人事制度、採用・育成、労務管理などを通じて、人が力を発揮し、会社の将来をともに担える組織をどのようにつくるのかを考えます。 [もう少し深く学ぶ →]

中小企業のリスク管理(専門科目)

会社を守り、事業を続けるために何が必要か-製造物責任、与信・債権管理、情報セキュリティ、災害対応、健康経営などを通じて、何が会社を脅かすのかを捉え、何を守り、どう備え、問題が起きたときにどう事業を続けるのかを考えます。 [もう少し深く学ぶ →]

会計と金融(専門科目)

会社の将来を、数字で見通すことができるか-財務諸表、利益と資金、経営計画、資金調達、企業価値、管理会計などを通じて、会社の現在地を知り、将来を見通して経営判断につなげる考え方を学びます。 [もう少し深く学ぶ →]

社会環境経営(専門科目)

会社の利益と、社会の持続可能性をどう結びつけるのか-サステナビリティ、環境管理、ステークホルダー、非財務指標、情報開示などを通じて、会社の成長と環境・社会の持続可能性を結びつける経営について考えます。 [もう少し深く学ぶ →]

経営管理の実践(論述式の総合問題)

学んだ知識を、自分の会社の判断にどう結びつけるのか-第1章から第5章で学んだ戦略、人材、リスク、会計・財務、社会・環境に関する知識を、「中期経営計画とPDCA管理」「ローカルベンチマーク」「経営デザインシート」を通じて自分の会社に当てはめます。自社の現在地を知り、未来を描き、行動を決め、その結果から学びながら、次の経営判断へつなげていく力を身につけます。 [もう少し深く学ぶ →]

こんな方に社長検定試験を受験してほしい

社長検定で学ぶ内容は、現在の経営者だけに必要なものではありません。会社を引き継ぐ人、これから会社をつくる人、そして将来経営を担いたい人にとっても、「会社を経営するとはどういうことか」を体系的に考えるための材料になります。

現在、中小企業を経営している方

企業が成長するにつれて、社長一人の経験や勘だけで会社のすべてを把握し、判断することは難しくなります。経営戦略、人材、リスク、会計、社会・環境といった経営の諸領域を体系的に捉え直すことは、個人の力量に依存した経営から、組織として持続的に成長できる経営へ移行するための基盤となります。

事業承継によって会社を引き継ぐ方

会社を引き継ぐということは、既存の事業をそのまま維持することだけを意味しません。先代が築いた経営資源や組織の強みを理解するとともに、変化する経営環境に応じて、新しい戦略や組織のあり方を構想することが求められます。そのためには、経営を部分ではなく全体として理解する力が必要です。

これから起業しようと考えている方

優れたアイデアや技術があることと、会社を経営できることは同じではありません。事業を始めれば、人を雇い、資金を管理し、リスクに備え、社会との関係を築きながら、継続的に意思決定を行わなければなりません。起業する前に「会社を経営するとはどういうことなのか」を体系的に学んでおくことには、大きな意味があります。

将来、経営者や起業家を目指す学生の皆さん

社長検定は、すでに社長になっている人だけのための試験ではありません。むしろ、これから経営の世界に踏み出そうとする若い人にこそ、経営を体系的に学ぶ入口として活用してほしいと考えています。

経営、人的資源管理、リスク管理、会計・金融、サステナビリティといった異なる領域を横断して学ぶことで、「会社を経営する」という営みの全体像が見えてきます。いつか自ら会社を起こしたい、経営者として企業を率いてみたいと考えている学生の皆さんに、ぜひ挑戦してほしいと思っています。